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Channel: 内野光子のブログ
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歌会始の選者は少し若返ってはいるが

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 1992年、平成に入って間もなく、岡井隆の選者入りが公表されたときは、歌壇にはいささかの衝撃が走った。アララギ系の清水房雄に代わって就任したまでのことと冷静な見方もあったが、「前衛短歌の旗手」が宮中入りしたので、岡井の所属する「未来」という結社を離れる同人も現れた。そして1993年からミレニアムをはさんで2014年までの20年余務めていたが、体調のこともあったのだろう、今年で選者の席を手放した。

・半年を経て来て見居り御所の庭夏草しげりわれをなぐさむ((短歌往来2014年10月)

・水稲と陸稲で鎌の葉の切れが違ふとぞ陛下説きたまひたる(短歌2015年1月)  

  2首目には「術後八日、両陛下にご進講申し上げた、仕事始。」の詞書があり、なんと未練がましいことだろう。そんなにムリをしなくてもいいのにと思うことしきりであった。そして、岡井の後任が今野寿美だった。2008年から選者となっている三枝昂之の夫人である。2009~2010年の選者を務めた永田和宏・河野裕子両人以来、夫婦での選者の再来である。河野裕子は、夫妻での選者入り、任務半ばでの病没が重なったためか、歌壇のみならず、マスコミなどでも好んで話題とされた。今回の三枝・今野夫妻の場合は、歌壇では、話題になったのだろうか。無関心を装っているにすぎないのか、あまり聞こえては来ず、無風である。  

  12月25日、宮内庁から入選者の氏名・年齢と応募歌数が発表となった。中学生から78歳までの世代にまたがる。中学生・高校生は、熱心な先生が学校ぐるみで応募させている例もある。今回の入選者は、10代から40代に飛び、20・30代の入選者がいない、若い人には人気がないらしい。そのあたりは少しほっとした気持ちだが、入選した中学生や朝日の新聞歌壇をにぎわしている小中学生が成長して、応募したりするかしら・・・。作品は1月14日当日まで公表しないことになっていて、応募有効歌数は2万0681首との報道があった。宮内庁のHP資料によれば、近年の「詠進歌数」は、2010年;2万5222、2011年;2万2304、2012年;1万9726、2013年;1万8429、2014年;2万2603ということなので、下降線をたどっていることになる。これをどう読み解くのか。

*  振り返ってみると、ブログを始めて9年、毎年、一月には、律儀にも?執拗に 「歌会始」にもの申しているようで、関心のある方は、キーワードの「歌会始」をクリックしていただければ、ご覧いただけますので、お立ち寄りください。


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