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「籾井NHK会長 NO!~NHKを国策放送局にするな」の院内集会に参加して

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 NHKは変えられるのか

 昨日39日、参議院議員会館で「籾井NHK会長 NO!~NHKを国策放送局にするな」という集会に参加した。主催は、放送を語る会と日本ジャーナリスト会議、集会に先だってNHKには、「籾井会長・百田・長谷川経営委員罷免要求署名」と申入書を届けている。賛同団体の視聴者・放送関係者代表ら23人と会見する部屋さえ用意しなかったというNHKの対応にもあきれる。

 集会では、主催団体から、これまでの署名73000余の署名と全国に広がるNHK問題に取り組む視聴者の動向が報告された。NHKが時の政権に左右されることなく、自立性を保つにはどうすればいいのか。NHKへの不満や抗議をぶつけるだけでなく、制度上の問題や制度改革の対案をということで、短い時間だったが、メディア研究者の松田浩さんと醍醐聰NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ共同代表の話があった。焦点は、やはり会長と経営委員を選任する仕組みだった。このうち、経営委員の選任は国会の同意人事となっている。NHK予算・事業計画を国会で承認するという今の制度の是非も取り上げられた。

前者の提案は、先進諸国に学び、特別法で第三者候補者選定制度を新設し、そこで会長や経営委員を選んで、内閣総理大臣が任命するというのが骨子である。さらに、敗戦直後の電波監理委員会にならって独立行政委員会(機構)を設置して行政権限を移し、委員の任命は推薦公募制を採用するというもので、いずれの構想も立法論の域を出ない。

後者の提案は、立法を待ってはいつのことになるか分からないので、現行法でできることから始めようとする趣旨で、放送法では、経営委員会が会長を選任する権限はあるが、会長候補推薦過程で、推薦・公募制を導入することは現行法の下でも不可能ではない。この過程で、各関係団体や視聴者の意見を反映できる仕組みを考えるというものだ。経営委員は、現行法上は国会の同意人事であるため、政権を監視すべきメディアの経営委員を政権が選ぶという実態から抜け出せない。これは法改正を伴うものであるから、大変な作業と時間を要することは確かだ。また予算と事業計画は経営委員会の議決事項であり、さらに、業務監督、番組基準、編集に関する基本計画を議決する権限も、放送法に規定されているのだから、この権限をフルに活用して自立性を高めようとするものだ。これも経営委員人事の国会同意制は、放送法の放送の公平・自立という目的自体と矛盾をはらんでいるので廃止すべきだとする。

現行法でできること、法改正をしなければ出来ないことを明確にすることが大事だと思う。ただ、松田さんの立法論の中で、NHKの会長も経営委員もなぜ内閣総理大臣が任命とするのだろうか。税金で賄う国営放送ならいざ知らず、民主的な立法を目指していながらなぜ?という、違和感があった。

視聴者の危機感と意思表示

そこで考えるのは、私たち視聴者が、いまのNHKに異議を申し立てするとしたら、どんな方法があるかということである。

そんな中で、全国の視聴者や放送関係団体が立ちあがり、この日の集会の賛同団体も26団体に及んだ。そこでは様々な試みがなされている。その報告を兼ねたリレートークは、なかなか迫力があるものだった。メデイアのトップとしての資質に欠ける会長の辞任、その会長を選任した経営委員の責任や辞任を迫るグループ、さらに、そのもとで働くNHK職員たちは奮起せよ、組合は何をしているのか、とさまざまである。なかには、NHKは良い番組を作ることもあるのだからほめてあげようという人もいた。

しかし、私が思うのは、視聴者の意思表示として、最も有効なのは何かということだ。コールセンターに意見を伝えるのも大事だが、ほんとうに番組担当者や役職者たちに届いているのかは疑問だ。もし、届いていたとしてもその対応は私たちに何一つ届かない。視聴者の意見を妙なまとめ方をした統計が公表されるだけである。やはり、偏向報道やタレントの大騒ぎ番組を見せられると受信料を払う気がしない。役員・職員給与の異様な高さを思うと払う気がしない。今日のような集会に職員組合「日放労」は参加しようとしない。視聴者の声を本気で聞こうとしない姿勢が蔓延しているのか。 

集会の中の報告で、どなたかが「NHK朝ドラばかりが平和主義」という川柳を紹介していたが、朝ドラが「平和主義」だなんていう認識自体が、番組の人気に迎合しているだけではないのか。その危機感の薄さにいささかがっくりした。たとえば、「花子とアン」では、村岡花子と柳原白蓮を「モデル」と称しながら、都合の「イイとこどり」しかしてない史実との向き合い方を、私は許せないでいる。多分、戦時下の大政翼賛的な発言や行動を知っていながら、そこをスルーして、あたかも反戦主義者のような、ひそかに抵抗していたような人物に仕立て上げていることについて、いくつかの反論が出ているにもかかわらず、それを無視して、よかった、よかったとする放送関係者が多いのはどうしたわけだろう。NHKの放送史や花子や白蓮の戦時下の作品を読んでみたらすぐわかることなのに。

視聴者は、受信料を払った上に、NHKを「ほめて」育てないといけないのか。


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