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疑問の多い「まちづくり協議会」(1)補助金検討委員会の議論から見えてくるもの

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 私たちの街にも、小学校の名を付した「まちづくり協議会」が発足した。以下「まち協」と略す。このブログでも触れたことがある。わが家が属する自治会は、参加を見送っている自治会の一つである。

・地域まちづくり協議会、住民はどこに~「まち協」は本当に必要なのか(2014410日)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/04/post-6afc.html

 

そもそも補助金検討委員会って? なぜ委員の名を公表しないのか?

その「まち協」事業への佐倉市からの交付金が、いま開かれている補助金検討委員会で議論されていた。そもそも、補助金検討委員会は、2006年に現行の補助金交付基準が策定され、2008年度、2011年度と3年に一度、補助金(交付金、助成金など)の見直しの検討を行い、意見書を提出することになっている。今年も1月から10月にかけて10回ほどの会議で集中的に検討され、近く意見書としてまとめられるらしい。その9回目までの会議録が市のホームページで読むことができる。上記「まち協事業」への交付金についての議論に限ってではあるが、一部の委員により、かなりの突っ込んだ議論が交わされたようだ。ただし会議録は、5人の委員のうち、委員長の発言は明示されるが、他の委員の発言者はただ「委員」としか表示されないので、4人の委員の発言は区別がつかない仕組みになっている。行政は、よく「匿名にするのは自由な発言をしてもらうため」の配慮だという。しかし、行政が選定する有識者委員、市民公募による委員にしても、それぞれの立場から、責任を持って発言することが期待され、自らも応募しての公募委員であるにも関わらず、委員名を明示しないのはなぜなのだろう。

さらに不思議なのは、1月から検討委員会が始まっているのに、どう検索してみても、その委員のフルネームが出てこないのだ。仕方ないので、問い合わせたところ、公表してないことが分かった。決定した段階ないしは遅くても第1回会議録の資料として付されるのが当然だろう。私の検索の仕方が悪かったかと問い合わせると「10回の委員会が終わって、最終の意見書を公表するときに発表します」とのことだ。

佐倉市の情報公開と言ってもこの程度なのだ。発言者の委員の氏名を発表しなどころか、会議録さえ発表しない審議会も結構ある。それは「情報公開でお願いします」とすぐ逃げる。ホームページで情報提供されてこそ「公開」なのではないか。できれば公開してほしくないという行政の昔ながらの本音が見え隠れし、隠蔽体質が払しょくできないのが行政の情報公開の実態である。

本題に入ろう。

 

「まちづくり協議会」が持つ矛盾

 そもそも、まちづくり協議会事業は、2007年「市民協働の推進に関する条例」に基づいて始められたもので、各小学校校区を単位の設立をめざし、校区内の自治会をはじめとする諸団体が連携して地域力を高める趣旨のようだ。とくに311以後、市や自治会での防災対策や機動力が十分機能しなかったこともあり、高齢者福祉対策などの不備も明らかになった。つまり「公助」の限界と称して、市や市長は、あわてて、自治会、自主防災会組織、社会福祉協議か、まちづくり協議会などに、地域での「共助」による補完を声高に強調するようになった。防災対策業務自体の充実ではなく、笛吹けどもなかなか踊らない?まちづくり協議会の設立促進、支援に力を入れることが、あたかも「行政の行き届かない」部分の業務を遂行することであるかのような方向性を採るようになった。この3年間の「まち協」について市議会での質疑を聴いてみるとよくわかる。毎年90万円の交付金で地域の問題解決、災害時共助の強化の主力を、この「まち協」に投げて「事足れり」としている姿勢が垣間見られるのである。

 

いま開催中で、間もなく意見書がまとめられる補助金検討委員会で、「まち協」についての議論をたどってみると、その問題点が浮き彫りになる。佐倉市の小学校は23校、現在、8つの校区に7つのまち協があり、その後、2つがスタートしているが、すでに解散しているまち協もある。設立時に70万、以降毎年90万円が、通常の二分の一補助ではなく、その活動が「公共の利益に資する」重要性、「市が依頼する報償的な財政支援」ということから、範囲内の全額交付されることになっている。

となると、交付金に見合う活動が持続的になされているかが問題となる。既成の地域団体、自治会、自主防災会、社協、商店会、PTANPO・・・。一つの団体ではできないところを連携して地域力を高めようというのだが、いま一つ一つの団体の組織率の低下や支えてきた人々の高齢化等が重なり、担い手が減り、団体自体の体力が衰えている中、束ねて強くなるものだろうか。私と同じ不安を抱く検討委員たちがいた。

・人材が少ない中で、元気なリタイア組が老人クラブは入りたくないかと、まち協になだれ込んだりして、すでにある組織―自治会、老人会、子ども会、防災組織などの弱体化を招かないか

・「まちづくり」は都市計画というハード面(開発・再開発、建築計画、緑化協定・・・)とソフト面があるが、佐倉市は、庁内整理が必要で、まち協が、防災、環境、青少年健全育成やイベント活動まで含み、「なんでもあり」ということになりかねない。

・自治会を中心に、そこを強化すべきではないか。

 などの意見があり(2014219日 第2回補助金検討委員会)、私も常々そう考えていた。市は、まずヒヤリングの対象とします、ということで、直接的な答えがない。さらに、疑問は続く。

・自治会単位で解決できない問題をまち協でというが、まち協がない校区はどうするのか。

・設立後のまち協の反応は、どうか。

・本来自治会が主体的に活動すべきところに、自治体が自治会活動に交付金まで出して手を入れているのは、まち協活動と自治会活動とを混同してはいないか。二重行政になっていないか。小学校区単位で、地域の自治会・町内かを組み入れるような仕組み「まち協」を作って、市役所が自治会・町内会をコントロールしているように感じられる。

 最後の発言は、委員長の疑問だったのだが、まっとうな意見で、まさに私の疑問と重なる。市は、連携や加入を強制ということはしないが、設立に向けて、参加に向けて働きかけている。地域の問題解決は、いろいろな側面があるので従来の縦割りでは対応しきれないところがあるが、行政施策を、まち協が直接担うものではないという(2014512日 第5回補助金検討委員会)。それは当然のことながら、これまで佐倉市が、自治会・町内会自体への市からの印刷物配布への協力金、自治会・町内会に助成金を出して自主防災会組織を立ち上げることを推進して来たり、広域の課題解決対策のための自治会・町内会連絡協議会に交付金を出して助成したりしていることとの整合性はどうなのだろう。地域へのバラマキの感を否めない。

 しかしながら、委員会の終盤になると、財政課からは、いろいろなご意見をいただきましたが、コミュニティの活性化が必要という転移ついては共通していたかと思います必要を。担当課(自治人権推進課)とは、そういう観点からご意見をいただければという協議をしました」とまとめられ、各委員も、「より補助の効果が出るような形で、検討してください」「効果を検証したうえで、今後がどういう方向を目指すのか議論してほしい」「まち協と自治会の有機的な連携も模索していただきたい。そうした上で継続としましょう」という流れになってしまった(2014818日 第9回補助金検討委員会)。委員たちから出された疑問には、ほとんど応えられていないのに。

 つぎは、「市民協働推進委員会の事業申請の審議から見えてくるもの」について書いてみたい。

 


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