沖縄辺野古基地建設にかかわり、同時進行している訴訟の行方
あす12月2日は、沖縄での裁判で、第1回の口頭弁論が始まるという。沖縄新基地建設をめぐって、基地をつくらせないと闘っている人たちを支援したいと気持ちが焦り、沖縄の最近の動向を整理しようとして、例のごとく年表を作成していて、どうも分かりにくい点がいろいろ出てきた。とくに「法廷闘争」が入り組んでいて難しい。少したどっていって理解できたのが、以下のようなことだった。もちろん足りない部分や勘違いもあると思うが、とりあえずのレポートとしたい。ご教示いただけたらと思う。沖縄で進む三つの訴訟の進捗状況と何が争われているのかを整理しておきたい。
今年の10月13日、翁長知事が辺野古埋め立て工事の承認を取り消したことに始まる。その「承認」というのは、2013年12月27日、安倍首相との会談を終え、仲井真沖縄県知事が、従来の主張を覆して、3000億円の振興予算とオスプレイ分散配備などを条件に辺野古埋め立て工事を承認したことを指す。知事の「これで、いい正月が迎えられる」とのセリフが、いまでも思い出されるのである。一年後の昨年末、圧倒的な勝利を収めた翁長知事が就任して以来、「基地をつくらせない」闘いが始まっていたわけである。
訴訟では以下の三つの方法で、争われることになる。
①国が「民間事業者」としての立場から、防衛局が、公有水面埋立法を所管する国交相に不服審査請求をした場合で、すでに石井国交相は、10月28日、翁長知事の取り消しを違法として取り消し処分の執行停止という裁決を下し、翌日から本体工事着手を始めている。県は、11月24日に国を提訴している。図表では、赤字で示した流れである。
②国が「行政体」としての立場で、石井国交相が翁長知事に取り消しの是正の指示・勧告を行ったが、それを拒んだ県に対して、取り消し処分の撤回を行う代執行を求めて、福岡高裁那覇支部に提訴したのが11月17日である。12月2日第1回口頭弁論が開かれる。図表では黒字で示した流れになる。
③11月2日、翁長県知事は、国土交通省の工事承認取り消しの効力一時停止の処分を不服として国地方紛争処理委員会に対して審査を求め、11月25日に意見書を提出している。
①は、行政不服審査法1条は、行政庁の違法、不当な処分行為について「国民救済」の手立てとして不服申し立ての道を開くことを目的としているにもかかわらず、「国民ではない、国が申し立てる」ことは想定してない、との考え方から、県は「違法」として国を提訴している。
②は、地方自治法で定められた手続きではあり、裁判所による公正な判断が待たれるが、なんと10月末日の人事異動で訴訟指揮を執る福岡高裁那覇支部の支部長が交代し、政府より人事との報道もある。
③は、まだ始まったばかりのようで、今後の動向を注視しなければとも思う。
もう日付が変わって、12月2日となってしまったが、第1回の口頭弁論の行方を見守りたい。
(参考)
辺野古承認取り消し:前例なき法律闘争、国の対抗策3つのケース(沖縄タイムス9月14日)
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=132782
以下の図表は、PDFでご覧ください。
・近年の沖縄辺野古新基地建設の動向、二つの裁判を中心に(2015年12月1日現在、内野光子作成)
・辺野古新基地建設にかかる訴訟手続き(2015年12月1日現在、内野光子作成)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/okinawanenpyou.pdf