そして、今年の市議会では~市長、はっきりして!
今年に入って、誘致賛成派の議員たちの順天堂への働きかけ、山万との話し合いなどを重ねていたようだし、市議会での市長への質問も活発であった。直近の9月議会を録画で見てみると、賛成の議員は勢いづいての質問であったが、9月8日の大野博美議員と9月9日の萩原陽子議員の質問によって、実態が少しわかるようになった。
大野議員の質問によって明らかになった事実、7月10日の順天堂からの文書での佐倉市進出構想案では「サテライトキャンパス」となっていたのを、誤解を招くとして「削除」させた件、2006年には、順天堂大学印西キャンパスを都内葛飾区のUR工場跡地に移転すべく交渉を進めていたが、3年後になって、本郷キャンパス拡充が優先するとして辞退にいたり、葛飾区の責任が問われることになった件(その後、理科大誘致が実現)などを例に、大学誘致は、大学の事情、資金やタイミングにおいて、多大のリスクを伴うことを指摘した。大学誘致には、当然、立地可能な用途地域変更、容積率緩和などが必要になって来るが、市は、建設計画の詳細が不明な以上、都市計画変更上必要な手続きは進められない、と答弁していた。なお、先の7月10日文書で、建設予定地は無償の使用貸借ではなく、地上権設定によって第三者対抗要件を備えたより安定的な権利関係を望んでいるが、当事者間で確定したわけでもない。また、市民の意識調査の実施、懇話会の設置に関しても、順天堂誘致の具体的提示がないままでは、有効な結果は得られないだろうとの指摘は、もっともなことであった。
9月9日、萩原議員の質問では、先の記事にあったように、周辺住民にしてみれば、土地区画整理事業との関係が一大関心事である。2013年4月のユーカリが丘駅北土地区画整理組合準備会提出の事業計画では、対象面積4ヘクタール、想定人口1000人、300戸であったが、その後大学誘致を含めての事業計画変更の申請はいまだにないという。山万からの周辺住民への説明では、20階建てで、位階は店舗、上階を教室・研究室・図書館の10000㎡、600人収容講堂の1200㎡、バスケットコート2面他の2500㎡とのことであったが、その後、佐倉市にも詳細な計画は一切伝えられていない、との答弁であった。また、懇話会には、土地区画整理事業の件は、一切伝えないままで、議論を進めているのは、大学誘致とは別々の申請であって、それを受けてから進めたいとしていた点は、納得しがたいところであった。 なお、両議員がともに、市に質したのは、順天堂大学が示した、総工費48.5億円の根拠であった。市は、詳細が一切不明なこと、したがって公的支出の判断のしようがない、というのが一貫したスタンスではあった。なお、順天堂側は、公的支援の規模がわからない以上、詳細は示せないという、どうもそんな綱引きが続いている様相である。しかし、公的支援を受けようとする側が、その額の根拠を示せないというのは、合理的根拠に欠けるのは明らかだろう。
市長よ、ふらふらするな、ハッキリしてほしい。財政的な余力は、佐倉市にはない。 第一、少子化により大学の存続自体が危ぶまれる昨今、さらに学生募集の目玉として、どこの都市圏でも、都心回帰が進む現状をどうとらえるのか。870人程度の昼間人口が増えて街が活性化するのか、経済効果があるのか。コンビニやファストフードの店が増えるかもしれない、関連の非正規雇用が若干増えるかもしれない程度の経済効果ではないのか、素人ながら考える。 山万の考える「まちづくり」は掛け声や宣伝が先走る。年取らないまちを目指すといいながら空き家はふえる一方だし、高齢者の買い物が大変そう、中途半端な実証実験バスが街を走るけれど、ユーカリが丘に図書館というものがない、本格的な書店がない、見たい映画がかからない・・・。佐倉市からもかなりの公的支出を引き出した井野東、井野南の区画整理事業の功罪を見極めたい。今度の公的支出は、さらに半端でない25億である。